期末試験が終わったばかりなので、ずっと我慢していたゲームをやるのは大目に見よう。子どもの部屋の前を通るとピコピコと電子音がするので、遊んでいることがわかる。もっと小さい頃も、お友達が大勢自宅に押し寄せ、大騒ぎになるかと心配したが、ゲームのお蔭で静かだった。狭い部屋のところどころに各自が座り、それぞれが携帯ゲームでゲームをするのだ。ゲームについての話は多少飛び交うが、やんちゃ盛りのはずの子どもたちが揃っても、それは静かなものだった。
ただ、最近ちょっと、失敗したと思うことは、子どもに鍵付きの部屋を与えてしまったことだ。子どもの部屋は元々鍵はなく、マンション購入時から個室に鍵がついていたのは、私たちが寝室として使っている北側の1室のみ。普段は夫が書斎として使っている部屋は、アメリカ人留学生が1か月間うちにホームスティする際に、彼のプライバシーを守れるように後から鍵を取り付けた。その時に、ついでだからと息子の部屋にも鍵をつけたのだ。
この鍵が実にやっかいだ。子どもの様子をちょっと確認したくても、鍵が閉まっているために確認できないということになる。試験期間中も、静かに勉強していると思っていたら、本人の意思に反して机につっぷして寝てしまっていたことがある。後から起こして欲しかったと言われたが、もし勉強に集中していたら、鍵を開けてまで中を覗き込むことは邪魔をすることになると遠慮してしまった。寝ているのに気が付かなければ、起こしてあげることもできないし、鍵をつけたことで、メリットと思えるものは私にとっては何もない。
留学生や子ども自身にとっては、鍵を閉めることでプライバシーが守られ安心するだろうが、親の愛情はそんなちっぽけなプライバシーよりも深く大きい。小さな鍵1つにその愛情や心配を邪魔されることとなり、1度取り付けた鍵をまた取り外してしまおうか、悩み中である。